水いぼとは
ポックスウイルス科の一種である伝染性軟属腫ウイルスによって引き起こされる皮膚の感染症です。
主に幼児、小児に生じる、白っぽいポツポツとした盛り上がった小さなできものです。
水いぼの原因
このウイルスは、肌と肌がこすれあったり、タオルや浮輪などの物品を介したりして感染します。
特に、皮膚のバリア機能が十分でない幼児期の子どもや、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある人は感染しやすいとされています。
水いぼの症状
水いぼは、感染から14~50日の潜伏期間を経て、体幹や四肢、股の周りや下腹部、太ももの内側などに現れます。
水いぼは通常直径2~5mmの盛り上がった柔らかいブツブツで、周囲の皮膚と同じ色かやや白っぽい色をしています。
表面は滑らかで光沢があり、中央がおへそのようにくぼんでいるのが特徴です。水いぼは痛みやかゆみを伴わないことが多いですが、かき傷をつけて炎症を起こすと、かゆみを感じることがあります。とびひの様な細菌感染を起こすこともあります。
水いぼの個数は個人差が大きく、数個から数十個、そしてそれ以上まで非常に幅があります。
水いぼの診断・検査方法
水いぼは、その形や色、中央のくぼみなどの特徴から、問診と診察で診断されることがほとんどです。
水いぼの治療方法
水いぼは、自然に免疫が働くようになり、6ヵ月~数年で自然に治ることが一般的です。
しかし、個人差が大きく、特定の患者様がいつ治るかを予測することは難しいと言われています。
そのため、水いぼが多数で広範囲になっている場合や、感染を防ぐために早期に治療を希望する場合は、医師の判断に従って治療を行うことができます。
治療法には、以下のようなものがあります。
当院では、子どもに痛みを与えることへの配慮から、水いぼの治療方法は外用療法を基本としていますが、患者様の年齢や個数、部位、感染の有無などを考慮して、総合的に最適な治療法を選択しています。
外用療法
みずいぼクリームという、銀の成分が入った薬を用います。
保険適応でないので、当院で調製したものを購入して頂いています(自費)。
摘出法
水いぼの中心部をピンセットでつまんで取り除く方法です。確実な方法と言えますが、痛みを伴います。
当院で行う場合は、テープタイプの麻酔を用います。
内服療法(ヨクイニン)
ヨクイニンという、ハトムギを主成分とした水いぼに効くとされる薬を飲む方法です。
補助的な治療法になります。再発を繰り返す場合などに用います。
経過観察
水いぼが自然に治るのを待つ方法です。感染を広げないように注意が必要です。
よくある質問(Q&A)
水いぼはうつりますか?
皮膚同士が接触すると、同じ人の別の部位でも、他人でもうつる可能性はあります。
プールなどでは一般的には感染しないと考えられています。
平成30年の厚生労働省のガイドラインでは、水いぼがあったとしても感染の可能性は無く、問題ないと明言されています。
水いぼは市販薬で治りますか?
効果のある薬剤はありますが、感染を引き起こす可能性があるのであまり推奨は出来ません。
子どもの水いぼは治りにくいのでしょうか?
個人差がありますが、基本的には自然軽快します。 広がってしまったものなどは治りにくくなる事もあります。
水いぼにヒルロイド系の保湿は効果がありますか?
乾燥していると皮膚のバリア機能が低下するため、保湿により感染予防出来る場合があります。
「水いぼ」と「いぼ」の違いは何ですか?
「水いぼ」は、ポックスウイルス科の一種である伝染性軟属腫ウイルスによって引き起こされる皮膚の感染症です。
「いぼ」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが皮膚の傷から侵入して感染することで起こります。
水いぼをピンセットで取るといいと言われたのですが本当ですか?
皮膚科のクリニックではピンセットで水いぼを取る事がありますが、当院では摘除は積極的にはしていません。
家庭での自己治療は二次感染を引き起こす事があるため避けましょう。